COMING AND GOING by Jim Goldberg

国際的写真家集団「マグナム・フォト」正会員を務めるアメリカ人フォトグラファー、ジム・ゴールドバーグ(Jim Goldberg)の作品集。ユニークな自叙伝として制作された本書を構成する作品群は、作者が20年以上かけて制作してきたものである。1999年から、作者は自身の波乱万丈ともいえる人生の浮き沈みのさなかに日常的な風景を写真に収め、スタジオに持ち帰り、作者特有の手法として知られるコラージュや注釈、モンタージュ、再構成の作業を通して消化し、再考し、物語を作り上げた。本書は、両親の死がもたらした悲しみ、人生を大きく変貌させた子の誕生、離別による傷心、そして愛の再発見を通した一つの道筋を描いている。

単体のイメージや組み合わせられた写真、個人的なメモ、コラージュ、エフェメラが、波乱に満ちた人生に呼応するように混ざり合って語る本書は、一個人の人生におけるほろ苦い現実を捉えている。我々を形成し、我々自身を理解するために成長していく方法を形づくる、普遍的かつ避けて通ることのできない訪れと別れ(Coming and Going)が反映されているのである。

Rich and Poor」(1985年)「Raised by Wolves」(1995年)や「Open See」(2009年)など著名な作品からも伺えるが、作者の視覚言語は、熱量の高い強烈さを持つシークエンスやナラティブを用いる。フィクションや映画、そして本という形そのものの影響を中心とするこの鮮やかなまでに本質的な手法に、さらに歴史や記憶やイマジネーションが衝突する。この荒々しくも傷つきやすく時に圧倒されるような人生と、つかみどころのない経験の中の普遍性を求め、それを提示した。それは、作者のこの傑作を構成するものであり、現代の本作りへと大きな貢献をもたらすものである。

by Jim Goldberg

REGULAR PRICE ¥18,700  (tax incl.)

softcover
360 pages
267 x 340 mm    
color, black and white
2023

published by MACK