ニューヨーク・スクールを代表するアメリカ人画家、ジョアン・ミッチェル（Joan Mitchell）の作品集。数十年にわたるキャリアの中で、重要かつそのスタイルが深く形成された時期である1979年から1985年に焦点を当てている。緑豊かな庭園に囲まれ、新たな創造的関係に挑戦し、刺激を受けながらフランスのヴェトイユに居を構え、日常生活に没頭するようになった。スタジオでの制作はますます盛んになり、その作品はさらに野心的で広大なものとなった。以前に増して大胆な色調で描かれるようになったこの時期の作品は、構図、スケール、色彩のニュアンスに富んだ熟練の技をありありと例示している。本書では、大判の抽象絵画作品に加え、多数の小さな絵画作品と、アーカイブ資料の抜粋を掲載している。

本書には、図版作品を補完するいくつかのテキストが収録されている。ベストセラー作家であるジュリー・オオツカ（Julie Otsuka）による書き下ろしのエッセイは、長年にわたる作者の絵画作品群との出会いを回想している。1986年にフランスの哲学者で美術評論家のイヴ・ミショー（Yves Michaud）と作者が交わした興味深い対談、エイミー・シルマン（Amy Sillman）、シニーク・スミス（Shinique Smith）、リリー・ストックマン（Lily Stockman）らアーティスト陣による省察は、作者の作品や実践のユニークな要素を探求しており、今なお作者がアーティストたちに影響を与え続けていることを浮き彫りにしている。