BOOKWORKS AND BEYOND by Ulises Carrión

メキシコ人アーティスト、ウリセス・カリオン(Ulises Carrión)の作品集。前衛芸術運動「フルクサス」にも関わった作者は、アムステルダムにて1975年に書店「Other Books and So」を始め、「アーティスト・ブック」という芸術的ジャンルを定義することで重要な役割を果たし、メキシコ人の中で最も重要なコンセプチュアル・アーティストの一人として位置付けられている。本の姿や意味、本が為しうることを新たに創造した、20世紀を代表する作家の一人である作者の人生と作品を、ふんだんな図版とともに記録した一冊。

作者は20世紀後半のアーティストや作家たちの中でも最も非凡な存在の一人である。ビジュアルアートや文学、音楽、パフォーマンスの境界線をなくそうと挑んだ世代の一員として、作者はアーティストブックや音響詩、パフォーマンス・アート、メール・アート、ビデオ・アート、理論的テキストや展示など、多種多様なメディアを用いて創作活動を行なった。現代においてその作品は、世界中にいる新世代のアーティストや美術史家、文化的活動に携わる者たちにインスピレーションを与えている。本書は作者の人生と作品を、多数の図版を用いてパノラマ的に記録した一冊であり、本というものの従来の解釈を変え、本を社会におけるアーティストの役割を再定義する力を持つ物質的、記号論的、社会的プラットフォームとして再考した作者の功績に注目している。

将来を期待された若き作家として、作者は1960年代後半に生まれ故郷のメキシコを発ち、文学を学ぶために渡欧した。1972年に、ゲイとしてオープンに暮らせる革新的な都市だったアムステルダムに腰を据え、似た思想を持つアーティストたちのコミュニティに加わった。1975年にかの伝説的であり先駆的な書店兼ギャラリー「Other Books and So」を始め、アムステルダムで起きた芸術的実験を展示し、援助するハブとして発展させた。

本書には、本やアート作品、エフェメラを集め、作者の活動喚び起こす代表的なセレクションを収めた。そのほとんどが、北米では作者の作品の最大のコレクションのひとつを有する「プリンストン大学図書館(Princeton University Library)」から得たものである。また、本書オリジナルの学術的、文学的エッセイを収録し、作者による学問と創造の混交する制作にならって考察した一作となっている。鍵となる一次資料、学際的で批評的な視点や新たな解釈をもとに、本書は重要なマルチメディア・アーティストである作者に新たな光を当てる一冊である。

by Ulises Carrión

REGULAR PRICE ¥10,450  (tax incl.)

hardcover
176 pages
178 x 254 mm
color
2024

published by PRINCETON UNIVERSITY PRESS