THE AMERICANS by Robert Frank
スイス人フォトグラファー、ロバート・フランク(Robert Frank)の作品 集。史上最も重要な写真作品群のひとつである画期的な一冊の、2024年再販版である。
1958年にフランスの「デルピール社(Delpire)」より『Les Américains』として、その後1959年にアメリカの「グローブプレス社(Grove Press)」より『The Americans』として出版されてから70年が経ち、本書はアメリカの写真作品において最も影響力を持つ不朽の価値を得た一冊となった。アメリカの全土をまわって撮影された83点の作品を通して人種差別、腐敗と不正にまみれた暗部やアメリカン・ドリームの過酷な現実と向き合うことで、作者はそれまでに知られていなかったアメリカの一面を明かした。人情とリリシズムが色濃く、見た者をはっとさせるその強いこだわりを持つ視点で切り取り、歴史の分岐点にあった一国における痛切でかえがたいポートレートを描いた。
1968年に刊行された「APERTURE」と「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」版から半世紀以上が経った現在、新版としてこのアイコニックな本書が「APERTURE」から蘇る。作者の生誕100周年と「ニューヨーク近代美術館」で開催される大規模かつ初の個展「Life Dances On: Robert Frank in Dialogue」に伴い、作者が手ずからデザインと制作のすべての段階に関わった2008年の「Steidl」版(刊行50年を記念に刊行された)の最高のトライトーン印刷をもとに制作された。
作者の緻密な視野、明確なスタイル、詩的な洞察力は20世紀における写真の行く先を変え、リー・フリードランダー(Lee Friedlander)やナン・ゴールディン(Nan Goldin)、ダニー・ライアン(Danny Lyon)、ジョエル・マイロウィッツ(Joel Meyerowitz)、エド・ルシェー(Ed Ruscha)、ゲイリー・ウィノグランド(Garry Winogrand)など、後に続いた世代の写真家たちに影響を与えた。本書はいまや史上最も革新的な写真集の一冊として讃えられ、その出版当時と変わらず力強く、刺激的であり続け、今日のオーディンスと共鳴している。