PRESENCE by Keiko Sasaoka
日本人写真家、笹岡啓子の作品集。作者は活動初期より 20年以上にわたり、日本列島の海岸線と山の稜線を丹念に歩き、撮影を続けてきた。北海道・礼文島から沖縄・波照間島まで、土地ごとに異なる地勢や植生、気候、そして海、山、空が交わる瞬間を追い続けた連作の集成が本書である。故郷・広島を撮影した『Park City』(2009年、インスクリプト)や、東日本大震災の被災地域をめぐった『Remembrance 三陸、福島 2011-2014』(2022年、写真公園林)など、作者の代表作の背景には一貫して自然へのまなざしがある。本書が示すのは、観光的な風景写真や国土的な象徴とは異なる、写真家自身の身体の移動と再訪の積み重ねによって深まっていった、土地との応答の軌跡である。2001年の初個展における「習作 landscape」以来、「限界」「観光」「水域」「Cape」「Volcano」「Fishing」「Shoreline」とタイトルを変えながら、自身の経験や、天候・季節といった自然からの呼びかけに応じて訪れた場所の連なりによって構成されている。 広大な風景の中に点景として現れる人々の存在もまた、本書の重要な要素です。彼らは風景の装飾ではなく、写真家を海や山の臨界へといざなう先達であり、伴走者でもある。その背中を追うとき、視線は風景へとゆるやかに開かれ、読者もまたその場に立ち会うような感覚を覚えるだろう。人為と自然が絶えず交錯し続ける列島において、作者の写真は、地勢のゆるやかな変容と季節の移ろいとともに刻まれていく人の営みの痕跡を掬い上げ、未来へと手渡していく行為にほかならない。 本作は、自然の奥行きと人の気配とが響き合う場所へと、我々を静かに立ち返らせる一冊である。
—この時代の海と陸とを撮っている。
その海と陸、過去と未来の狭間に
私たちが立っていたことを記しておきたい。
-笹岡啓子
The culmination of Keiko Sasaoka’s more than twenty years of work tracing Japan’s coastlines and ridgelines from Rebun Island in the north to Hateruma Island in the south.
—I photograph the sea and the land of this era.
I want to leave a record that we once stood between sea and land, between past and future.
Keiko Sasaoka