INDUSTRIAL PORTRAITS - VOLUME ONE (2008-2012) by Walead Beshty

ロサンゼルスを拠点に活動するイギリス人アーティスト、ワリード・ベシュティ(Walead Beshty)の作品集。作者は2008年から自身のプロジェクトに関わるアート界の人々の写真を撮り始めた。それらをまとめた本書には、2008年から2012年に撮影されたポートレイトが収録されている。 2008年に始まった『 Industrial Portraits』シリーズは現在も継続中である。作者はプロジェクトを通じて出会うありとあらゆるアート関係者に現場で仕事着のままポーズをとるように頼むという。そのためこのモノクロの記録には、スタジオアシスタントやギャラリースタッフ、ラボの技術者、批評家、仲間のアーティスト、アートコレクター、アートハンドラー、さらにはスタジオからギャラリー、そしてその向こうへと作品が展開するのを支える機械までもが登場する。「額装屋」「FedExのドライバー」「暗室のアシスタント」といったタイトル、被写体のイニシャル、撮影場所と日時が記載された写真は、アメリカの偉大なフォト・エスノグラフィー(※註)の伝統を受け継いでいるようでもあり、全体としてヒエラルキーのない万華鏡のようでありながら詳しい情報が載っているアート界の「写真名鑑(facebook)」を作り出している。 キュレーターのジェイコブ・プロクター(Jacob Proctor)は、「このポートレイト集は被写体の内面をさらけ出すというよりは受け入れているようである。気軽でくだけた雰囲気の前には、おきまりの手厳しい批判をしてもムダである。通常人の目に止まることはないが、この世界における作品の在り方を規定している様々な条件を作者はつぶさに調べ、カラー処理の機械までも写真に収めている」と述べている。 2008年から2012年に撮影された『Industrial Portraits』シリーズのイメージとサーペンタインギャラリーのディレクター、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)の序文を収録。その後の作品を集めた第2弾も出版予定である。

※註 データや統計ではなくインタビューや観察などを用いる「エスノグラフィー」という手法に対し、その記録、調査方法に写真を用いて作成すること、またその過程において作成された複数のイメージの集合体。

by Walead Beshty

REGULAR PRICE ¥5,280  (tax incl.)

softcover
568 pages
106 x 165 mm
color, black and white
2017

published by JRP|EDITIONS