OFFICE / LA OFFICE by Lars Tunbjörk
スウェーデン人フォトグラファー、ラース・ツンビヨルク(Lars Tunbjörk)の作品集。本書は2001年に刊行された作者の代表的写真集『OFFICE』が再版されたものであり、未発表作品とともにスリップケース入り仕様で新たに刊行された。
2015年に惜しくもこの世を去った伝説的フォトグラファーによるこの新版は、晩年に短期間で完成させた未刊行シリーズ『LA Office』もあわせて収録される。21世紀初頭に刊行されたこの象徴的な作品は、オフィス文化における官僚主義、無秩序、凡庸さをマゾヒスティックな喜びとともに掘り下げ、魂を枯らす企業空間の環境をその比類なき洞察力で捉えている。
作者は本作において5年間にわたり、ストックホルム、ニューヨーク、東京のオフィスを探索し、生気のない平凡で画一的な職場で「異星人のように」写真を撮り続けた。「西洋世界で最も一般的だが、閉鎖的で秘密主義的な場所」と呼ぶ場所で、そこから消えようとしない悲しみを捉えようとした。変化の風は、グレーの仕切りをシェアオフィス・コワーキングスペース「ウィーワーク(WeWork)」のソファに変え、不格好なダイヤルアップPCを洗練されたポケットサイズのタッチスクリーン・タブレットに変えたかもしれないが、本書のイメージは、ばかげた仕事、静かな退職、在宅勤務の時代においてもなお予見しているかのような、偶発的な倦怠感と孤独感を写し出している。
二冊組で構成された本書は、作者の近しい共同製作者であるデザイナー、アートディレクターであるグレーガー・ウルフ・ニルソン(Greger Ulf Nilsson)が装丁を手掛けており、2001年版を再構成し、未公開作品を収録した別冊とともに新たな視点を提示する。本書は、「ラース・トゥンビョルク財団(Lars Tunbjörk Foundation)」との共同刊行として制作されている。