スペイン人フォトグラファー、ピア・リヴェローラ（Pia Riverola）の作品集。作者が生み出す太陽の光が降り注ぐイメージは、世界各地のヴィネットのぼかしが肩の力を抜かせ、一日のリズムを呼び覚ます。

場所と日々を色調によって描くそのコラージュは、心象的であり、何かの記憶を想起させ、かすかにかすみがかかる作者の作品の特徴が現れており、繊細なシークエンスで構成されている。五感的かつ共感覚的な体験を生み出す動き、ぼかし、薄明かりを用い、時から摘まれて長い間忘れ去られていた記憶へと我々を誘う。ネオンに照らされた雨の日本の夜、スペインのテーブルクロスを浮かせる地中海のそよ風、ローマの庭で傘の下にそっと落ちるイタリアの霧雨。夢心地のイメージが、雰囲気の中へと浸らせ、距離と旅の感情を呼び起こす。