GREY COBALT by Felicia Honkasalo

フィンランド人アーティスト、フェリシア・ホンカサロ(Felicia Honkasalo)の作品集。

この作品は亡くなった祖父から受け継いだもの、書類、写真から生まれました。生前の祖父について私は何も知りません。これらのものを通じて私は様々な祖父の姿を想像しました。働いているところ、日々の生活、冷戦下のフィンランドの炭鉱で酒を飲みながら昼食を取っているところ…。そんな姿を想像上の記憶として再構築したのです。この作品を作る過程で、私の目には祖父の遺した風変りな品々がそれぞれ独自の肉体と能力を持つ、生きているキャラクターに見えてきました。祖父の遺品には私自身の記憶の不確かさとは対照的なしっかりとした形があり、変わることのない輝きが宿っています。私の目に映るキャラクターたちは、不確かさと確かなものとの複雑な関係性に明滅する光を投げかけるのです。

本作は作者の生まれ故郷であるフィンランドの風景と歴史が染み込んだコレクションの品々を中心に展開される。注意深く並べられたイメージのシークエンスには、治金学者だった祖父の遺品と向き合った静かな瞑想と、元の字句を消してその上に字句を記した羊皮紙(パリンプセスト)のように異なる順序で語られる時間や記憶がフィンランドという土地にはどのように刻み込まれているのかという問いと、その両方を巡り、より大きく圧倒的な2つの物語が同時に表現されている。様々な珍品を集めた博物陳列室の「驚異の部屋」のように整理され新しい順番で並べられたイメージの数々は、全体として1つの「失われた世界に触れる体験」を作り出している。作者は一見共通点のないものたちからいくつもの物語を紡ぎだし、遠い過去に対する自分自身の思いや理解から独創的な宇宙論を形成する。祖父の書いたメモの一部とそれらを基に作者自身が綴った物語は、この本とそこで紹介されているものについてのエピローグと考察として収録されている。その中で作者は、これらのものたちが作られた歴史上のある一時期と、今度はその同じものが混乱させている現代について熟考している。本作品では、互いに補い合うイメージを並列して構成したシークエンスを通じて、個人的、歴史的、地理的な軌跡が空間と時間を超えてそれとなくつながっている。イメージを補完するエイダ・スメールベゴビッグ(Ada Smailbegovic)の長い散文は、ものと場所とでできた目に見えない世界を描き出すためにイメージと断片的なスタイルを使い、これらの軌跡をさらに拡大していく。本作は、2019年1月10日から2月15日までWebber Galleryで開催された同名の展覧会に伴い刊行された。

by Felicia Honkasalo

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softcover 
114 pages
185 x 210 mm
color, black and white
2019

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