HUMANISE SOMETHING FREE OF ERROR by Sarah Piegay Espenon

ロンドンを拠点とするアーティスト、サラ・ピゲイ・エスピノン(Sarah Piegay Espenon)の初作品集。本書は、気象改変によって気候に影響を与えようした人間の試みを研究した一冊であり、ヴィジュアルリサーチとして3年以上に渡り熟考、集積されてきた記録である。広義として気候改変とは、科学技術の進歩によって人為的に自然の気象傾向に介入しようとすることである。最初は、食糧生産性を高め水不足を緩和するため、もしくは雹やハリケーンといった気象災害の被害を避けるためといった建設的な行為として捉えられていた。しかし20世紀に入ると、土地から利を得るため、また経済や生態系、農業、金融商品市場を揺るがすためにこういった介入は軍事や資本主義におけるテクノロジーとして組み込まれていった。気象が兵器となることや環境戦争が起きる可能性を考えると、権力や支配力、軍事力のひとつとして自然の力を利用することへの倫理観に関わる疑問が生じる。出版物や新聞、オンラインフォーラム、アーティストの写真作品アーカイブなど様々なソースからイメージを集めた本書は、その疑問に対する遠回しな回答であり、地球工学を平和的に活用することと非平和的に使うこととの間にある細い線を伝いながら永遠に続いていくだろう。そして、強力かつ危険とも言える環境の力を、責任のもと管理する人間自身の力量を問うている。本書ではっきり描かれているこの試みは、我々のこの時代の気候における危機的状況とは切り離せないテーマであり、生態系の変化を操作するために用意された隠れた軌道を作者は切迫感を含有させて描いてる。また、本書には本質的であり難解な要素も含んでいる。「何が起きているのか見えない空の上で起きている不可解かつ隠れた気候操作」である。このようなイメージを収集する行為は、この地球との共生関係、また人と技術との関係についての疑問も同時に投げかけている。― 世界に我々が今までに積み重ねてきたプロセスは我々がコントロールしているのか、あるいはもはや今、我々がコントロールされているのか ―



by Sarah Piegay Espenon

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softcover
176 pages
137 x 195 mm
color, black and white
limited edition of 700 copies
2018

published by LOOSE JOINTS