MOUSE MUSEUM by Alex Da Corte
アメリカ人アーティスト、アレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)の作品集。アメリカにおけるポップアート創始の重要アーティストの一人であり、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)世代の中で最後まで生きた人物である、彫刻家クレス・オルデンバーグ(Claes Oldenburg)への究極のオマージュとして、作者はオルテンバーグの「マウス・ミュージアム・プロジェクト(Mouse Museum project」に独自のアレンジを加えて再現し、本作を制作した。
1979年、オルデンバーグの作品集「Mouse Museum/Ray Gun Wing」は、「アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)」、ケルンの「ルートヴィヒ美術館(Museum Ludwig catalog)」のカタログとして作られたものであり、本作はその「突然変異(ミュータント)ファクシミリ版」としてデザインされており、作者によるインスタレーション作品が収録されている。1965年から1970年代後半にかけて制作されたオルテンバーグによるオリジナルのインスタレーションは、「ミッキーマウス(Mickey Mouse)」の形をさりげなく再現した形状の部屋が、オルテンバーグによって長年にわたって収集されたエフェメラで埋め尽くされている。オルデンバーグの熱烈な崇拝者である作者は、ガラスの果実、マクドナルドのハッピーセットのおもちゃ、造花など、自身の幼少期より溜め込んでいたコレクションを使い、オルテンバーグによるオリジナルのコンセプトを21世紀版としてアップデートした。作者の作った部屋の形もまた「マウス」をかたどっているが、作者のそれはマウスの左耳を切り取りフィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)へのオマージュ・バージョンとして作られている。記録、インスピレーション、そして作者の声として置かれたオブジェによる考察が、作品と全体論的な現代における実践の両側面において、前例のない表現を形成している。作者による「マウス・ミュージアム(ヴァン・ゴッホの耳)(Mouse Museum(Van Gogh Ear)」の各オブジェは、合計300枚以上のカラー写真で撮影され本書に掲載されている。本作は、2023年4月から9月にかけて「金沢21世紀美術館(21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa)」で開催された個展「アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄(Alex Da Corte Fresh Hell)」で展覧され、本書にも日本語テキストが収録されている。
※性的な表現が収録されているページが多数ございます。ご購入の際にはあらかじめご了承ください。