AT HOME IN LONDON: THE MANSION BLOCK by Karin Templin
アメリカ人建築家であり都市デザイナーのカリン・テンプリン(Karin Templin)による作品集。住宅はどんな都市でも基礎的要素であり、都市の特徴、規模、構造を決定するものである。ロンドンといえば、テラスハウスやガーデン・スクエアを連想しがちであるが、「マンション・ブロック」と呼ばれる大規模な専用アパート群も大きな特徴の一つである。本書は、ロンドンの「アーキテクチャー・ファウンデーション(The Architecture Foundation)」の依頼によって実施された画期的な調査をまとめたものであり、1850年代から現在までのロンドンの「マンション・ブロック」の変遷に注目し、この建築タイプと現代都市を定義するその役割を詳しく紹介する。
作中では27の事例を取り上げ、新たに依頼されて描かれた豊富な図面や写真を通して、このありふれた建物の建築的野心と実体験を踏まえた上で現実を省みる。作者は、19世紀のウェストミンスターやサウスケンジントンから21世紀のキルバーンやストラトフォードまで、「マンション・ブロック」がどのように街の広い領域を定義するようになったのかを考察している。本書は、ヴィクトリア朝時代に大都市としての地位を確立したロンドンの発展から、長年の住宅危機に対処するための現在の取り組みまでを振り返り、ロンドンのアイデンティティにおける「マンション・ブロック」の中心的存在感と、住宅や都市計画に関する議論との関連性を探る。
本書は、ロンドンの住宅事情を紹介するシリーズの第一弾であり、長年の住宅危機を踏まえ、都市における住宅の位置づけを考察した一冊である。
by Karin Templin
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