GERHARD RICHTER: NEW YORK 2023 by Gerhard Richter
ドイツ人画家、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)の作品集。本書は、2023年3月から4月にかけてニューヨークの「David Zwiner」で開催された展覧会に伴い刊行された。展覧された作品のうち、2016年から2017年に制作された抽象絵画の多くは初めて公開されたものとなる。あわせて、作者の最近の絵画と近年の作品を紹介する。2017年に作者は最後のペインティング作品を完結させたが、そのダイナミックな創作活動は、最近のドローイング、版画、彫刻における継続的な実践を通じて、抽象と知覚が持つ可能性を究め続けるものである。
抽象画と写実画で知られる作者は、数十年にわたり、素材と形式的・概念的可能性への取り組みを特徴とする多様で影響力の強い活動を追い求めてきた。本書は作者の新作における表現の幅広さを讃え、また作者のキャリアにおける歴史的瞬間を記録している。
フルカラーの図版と展示のインスタレーションビューでは、2017年に油彩画からの引退を表明する直前に制作された作者の最後のキャンバスによる作品のセレクションを、紙にインク、グラファイト、色鉛筆と紙といった新しいドローイングの広大な作品群、「mood」と題された、驚くべき仕上がりのクロマティック・インクジェット・プリントのシリーズ、ニューヨークでの展覧会でデビューした素晴らしいガラス彫刻とともに紹介している。作者の作品研究における第一人者であり展覧会のキュレーションを担当したディーター・シュヴァルツ(Dieter Schwarz)により新たに書き下ろされたエッセイには、作家の最新作品に至るまでの道のりが描かれてる。シュヴァルツは作家のスタジオでの様子を描き、作者の象徴的な活動の裏にある制作過程を明らかにする。
ドイツ人アートディーラーであり、同ギャラリーのオーナーであるデイヴィッド・ツヴィルナー(David Zwiner)による序文を収録。シュヴァルツは本書の編集も担当する。