I SAW THE AIR FLY by Sirkhane Darkroom
シリア人フォトグラファー、セルベスト・サリー(Serbest Salih)が主催する、トルコの非営利団体「Sirkhane DARKROOM」による作品集。トルコ南東部、シリアとの国境から僅か数キロにある子どものためのサーカスの学校、シルクハーネは、村から村へと渡り歩き、子供たちに写真の撮影、現像、印刷方法を教える移動式の暗室も運営している。シリア難民である作者が主催するこの暗室は、「写真とは普遍的な癒しの言語である」という根源的な信念に基づいて設立された。シリアやイラクから来た難民が多いこの地域に暮らす子供たちに、1種の遊びとして、または自分の周りの世界を理解する手段としての写真に親しむ機会を提供している。
このプロジェクトに参加した子供たちが撮った写真においては、シルクハーネのあるマルディンの街とその向こうに果てしなく広がるメソポタミア平原を背景に、フレームという枠組みの中で不思議な夢や遊び、発見の世界が展開している。
何もない空に写り込んでいる戦闘機や、UNHCRの支援物資の箱の中から覗いている子どもなど、そう遠くないところで戦争が起きていることがほのめかされていることもある。しかしこれらのイメージには、苦痛やトラウマの場面の再現よりもむしろ、子供だけが持つ好奇心で一杯の眼差しを通じて生き生きと描き出された手の届く範囲の世界を見ることができる。驚きと遊びの瞬間が散りばめられた彼らのビジョンに捉えられた友達や家族は、空中に浮いていたり、さかさまだったり、窓から身を乗り出していたり、愉快な変装をしたりしている。
笑い声と喜びに満ち溢れた本書は、どんな時にも決して失われることのない想像力のレジリエンス、写真の持つ癒しの力、子供時代だけに可能な不思議で美しい世界観の証しである。
本書の売上は全て非営利団体「Her Yerde Sanat-Sirkhane」に寄付される。
「写真の本質的に民主的な本質と驚きをもたらす力を証明してみせた作品…この本が世に出たことは快挙です」– The Observer紙
「深遠…ページをめくる喜びを味合わせてくれる本」– The Washington Post紙
「写真は部外者が人々のトラウマを記録するだけでなく、当事者が自らを癒す手段にもなることを示した、詩情あふれる1冊」– CNN
「悲しみや嘆きではなく、好奇心、遊び、家族や友人への愛に満ち溢れた日々の瞬間を垣間見せてくれる、子供の視点で捉えた風景を讃えた作品」– The Independent紙
「驚きの連続…子供たちは家庭でのプライベートな時間や友達との楽しい出会いを写真に収め、突拍子もないセルフィーを撮る」– Financial Times紙