THE CITADEL: A TRILOGY by Mame-Diarra Niang

セネガル系フランス人写真家、アーティストのマメ・ディアラ・二アン(Mame-Diarra Niang)の作品集。本書は3つの楽章から成る精神の内なる旅の物語である。現実と作者の想像の風景を行き来しながら、発見、喪失、そして再生の道筋を描いている。2007年作者は数年間のフランス暮らしのあと、父親の埋葬を行うためにセネガルへと帰郷した。作者は領土という概念に深い興味を抱いており、それがこの訪問で再発見した風景の屈折した表現へとつながっている。作者が写し出す場所は、科学的に調査された場所であると同時に、寓話的な虚構へと変貌させられた場所でもある。

3つの楽章の内、『Sahel Gris』はインフラ施設の建設現場が、埃にまみれて放置された無人の地を描いている。それは、水平線が連続することで動きと慣性の間が永遠に保留される状態を生み出す、『The Citadel』のルーツであり最も初歩の段階を示す。『At the Wall』では、作者は休息と審問、神託の場、そして『The Citadel』の入り口で立ち止まる。『Metropolis』で、作者は遂に獣の腹の中に足を踏み入れる。目の前で絶えず変化しながら、南からの光でまばゆいばかりに輝く都市の雑踏から外を見渡す。作者のビジョンの中心には、「領域の可塑性」という概念があり、それは場所に対する個人的な探究が作者自身の変容と区別ができなくなり、風景が「複数の自己を生み出す素材」となることを意味する。

本書は、個人的でありながらも分析的に、場所との関係を浮かび上がらせる。都市名や地理的な座標は溶解し、歴史上から現在にいたるまでそれらに課されているビジョンと同様に、無意味なものとなる。

by Mame-Diarra Niang

REGULAR PRICE ¥22,000  (tax incl.)

hardcover and softcover in a slipcase
416 pages in total
170 x 270 mm
color, black and white
2022

published by MACK