THE LAND IN BETWEEN by Ursula Schulz-Dornburg
ドイツ人フォトグラファー、ウルスラ・シュルツ=ドルンブルク(Ursula Schulz-Dornburg)の作品集。風景と文明とが複雑に絡みあう様を描き出し、築かれた環境がありながら同時に避けられない非恒久性を通してその変化を及ぼす力の構造を探る。歴史的ないしは政治的に重要な領域を振り返ることで、いかにして紛争、破壊、時代、そして衰退が景観を変容させてきたのかを、写されたイメージが浮き彫りにする。作者の取り組んできたプロジェクトの多くは地理的に限定された場所から派生しており、近代において戦略的重要性を持つ地域と併せて古代文明に関係する場所もそこに含む。玄関口(gateway)と共にそこに交差する道(cross road)、もしくは「中間にあたる場所(land in-between)」として歴史的に見なされてきたその場所は、孕んでいる情報によってそのように定義されてきているとは限らない。ヨーロッパとアジア、東と西、古きものと新しきもの ― どちらの側にも密接に関係する事柄によってそう明示されることがしばしばある。作者は30年以上に渡って各地に赴き、アルメニア、ジョージア、イラン、イラク、サウジアラビア、イエメンを回った。オスマン帝国が建設した「ビジャーズ鉄道」路線のうち今は運行されていない現サウジアラビアに残る廃線跡、現アルメニアに建つソビエト時代の朽ちかけたバス停、メソポタミア湿原の仮住居などを記録。最も近年の作品は2010年にシリアの古代都市パルミラを撮影したものであり、2015年イスラム過激派組織によって遺跡を破壊される前の、最後の視覚的な記録の一つとなった。本作は、2018年夏にシュテーデル美術館(ドイツ)で開催された同名展覧会に伴い刊行された。
by Ursula Schulz-Dornburg
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