SUMMARY by Manuel Burgener

スイス人アーティスト、マヌエル・バーゲナー(Manuel Burgener)の作品集。本書は、展覧会図録の目的を精査するというアイデアから制作されており、芸術作品の中でも彫刻を、見ればわかるような描写を用いて記録することがそもそも可能なのかを問いかけている。作者は、写真を手段として展覧会という空間のうち目に見える部分は記録できても、その雰囲気を捉えることはできないと考える。本作は展覧会を空間的に移動する体験を表現しようとするものではなく、カメラのレンズの設定によって遠近感を変化させ、単なる物体とインスタレーション作品との間の境界線をより一層曖昧にしている。図録という通常の手段に捉われず、一冊の本の中で自分自身の展覧会に自律的な形を与えるという芸術的な姿勢を示した作者は、作品の配置を示すのではなくその神髄を伝えるために、オフセット4色印刷でプリントしたイメージを上から白いUVインクでほぼ完全に塗りつぶした。この即興的な印刷プロセスにより、白いインクの被膜に所々にできた塗り残しは、逆にイメージがインクで覆われていることを強調し、触感を伴ったテクスチャーを作りだしている。インクの隙間に透けて見える色彩に私達は展覧会そのものを一瞬垣間見るが、同時にそこには何の意味も見出せないことを身をもって知る。そしてこの体験が本書を非常に実験的なものにしている。本書は、スイス・ベルン州の都市、ビールの現代美術館で開催された2018年度マノー賞受賞作品展に伴い出版された。

by Manuel Burgener

REGULAR PRICE ¥5,800

softcover
207 pages
220 x 290 mm
color
2018

published by EDITION PATRICK FREY