CONTRAPPOSTO STUDIES by Bruce Nauman
アメリカ人アーティスト、ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の作品集。2021年5月から2022年11月にヴェネツィアの現代美術館「プンタ・デラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」で開催された展覧会に伴い刊行された。装丁はロンドンを拠点とするデザイン事務所「Zak Group」が手がける。この展覧会では、「フィラデルフィア美術館」と「ピノー・コレクション」の共同コレクションに所蔵する2つの作品「Contrapposto Studies, I through VII」、「Walks In Walks Out」が展示された。本展では、ウィットに富んだ作者が、1960年代に制作した「歩く」作品に新たなひねりを加えている。「コントラポスト」とは、重心の大半を片足にかけることによって上半身が体の軸からずれる人物のポーズを指す。最新作では、この古くからある芸術的概念を探求し、狭い廊下を歩きながら、古典的なポーズを取ろうとする1968年のビデオ作品「Walk with Contrapposto」を再訪する。作者は、現代のデジタル加工の技術を駆使して、この初期作品を新たな文脈で構築し、人間の動きや静止している表現に対して疑問を投げかけている。本書は、2015年から2019年にかけて制作された「Contrapposto」シリーズとオリジナルの映像の記録に加え、作者の活動を通じての空間とパフォーマンスの用い方を考察した新しいエッセイがスリップケース付きの2冊組書籍に収まっている。1巻は、エッセイ全7点と、「フィラデルフィア美術館(Philadelphia Museum of Art)」の「キースL.・アンド・キャサリン・サックス・コレクション(The Keith L. and Katherine Sachs Collection)」のキュレーターであるカルロス・バスアルド(Carlos Basualdo)と作者とのインタビューが収録されており、2巻は本展に出品された全32点の図版とエッセイが収録されている。