WRITINGS 1973–1983 ON WORKS 1969–1979 by Michael Asher

アメリカ人コンセプチュアルアーティスト、マイケル・アッシャー(Michael Asher)の作品集。作者にとって作家としての形成期にあたる10年間における作品を記録した極めて重要な一冊。1983年に初版が刊行された本書は、作者によるテキスト、写真資料、建築の平面図、展覧会の告知やその他のエフェメラを含む34作品を紹介している。

作者は、作品を伝統的な方法で制作するのではなく、芸術作品が提示される既存の決まりきった装置、仕組みに変革をもたらすことを選んだ。芸術がどのように作られるのか、どのように鑑賞者に経験を与えているのか。それを支えている建築、社会、経済のシステムに依存する作品を制作する。例えば、1974年にロサンゼルスの「クレア・コプリー・ギャラリー(Claire Copley Gallery)」で開催された個展では、ギャラリーの展示スペースとオフィススペースを隔てる壁を取り払い、展示スペースには何も置かず、奇妙な空間を作り出した。1978年には、18世紀後半に制作されたジョージ・ワシントン(George Washington)のブロンズ像レプリカを元々設置されていた「シカゴ美術館(Art Institute of Chicago)」の正面から運び出し、18世紀ヨーロッパの絵画と彫刻の展示室のひとつに移動させ、本来の目的である公共の記念物から室内彫刻へと機能を変更させた。

そのサイト・スペシフィック(場所特有)かつ非物質的な特性により、作者の作品は展覧会が終わればその存在を消してしまうため、本書は1970−80年代頃に制作された作品を探求する際に決定的な手段として役立つ。作者は序文で、「この本は完成した製品として、私の作品が持つ実際の非永続性と矛盾する物質的な永続性を持つが、それによって逆説的にその非永続性を証明するものとして機能している」と述べる。

ドイツ人キュレーターのカスパー・ケーニッヒ(Kasper König)による発案で刊行された本書は、カナダの「ノバスコシア美術デザイン大学(Nova Scotia College of Art and Design)」と「ロサンゼルス現代美術館(Museum of Contemporary Art, Los Angeles)」の共同出版であり、ケーニッヒの後任として編集を担当したドイツ人美術史家ベンジャミン・ブクロー(Benjamin H.D. Buchloh)と作者の密接な協働により完成した。

by Michael Asher

REGULAR PRICE ¥9,350  (tax incl.)

softcover
240 pages
216 x 305 mm
color, black and white
limited edition of 3,500 copies
2021

published by PRIMARY INFORMATION