DIE VERWANDTE. AUS DEM FOTOGRAFISCHEN NACHLASS DER ANNE-MARIE VON WOLFF by Mimi von Moos

スイス人アーティスト、アン・マリー・ボン・ヴォルフ(Anne-Marie Von Wolff)の作品集。同じくスイス人アーティストで作者の甥の孫娘である、ミミ・ボン・モース(Mimi von Moos)による編集。作者は、スイスの都市ルツェルンで幼い頃からのけ者にされて育った。てんかんの発作に結核という持病があり、姪が亡くなったのは作者の病気がうつったせいだと誰もが思っていた。自分の家族とその周囲の状況を注意深く観察するようになったのは、疎外されていたことが一因なのかもしれない。しかし作者は、カメラを通じて徐々に家族と自分が暮らす狭い世界の中に居場所を見出していった。無口で陰鬱な人だったと言われているが、ルツェルンの日常風景、レ・マイヨン=ド=シオンでの夏休み、いとこでジャーナリスト、作家のカール・ボン・シューマッハーを訪れた時のこと、マウエンゼー城などを捉えた作品は、彼女が鋭敏な感覚と力強い構図のセンスを持っていたことを証明している。しかし存命中はその芸術的な才能が注目されることはなかった。その作品は、ミミ・ボン・モースが祖父の家でバナナの木箱にしまい込まれていた写真を偶然見つけてようやく日の目を見ることとなった。これまでに1930年代から1950年代にかけて作者が撮影したおよそ1500枚のモノクロ写真が発見されている。ミミ・ボン・モースは、いくつかの文学論の中で遠い時代の大切な瞬間を今に伝えるこれらの写真を現代の視点から見るという体験について書いている。また彼女は、これらの写真を手掛かりに決して表に出ることがなかった今では知ることができない一人の写真家のポートレイトを描き出そうと試みている。『Die Verwandte』(私の親族の女性)と名付けられた本書では、一つの類まれな発見に基づいて写真の様々な側面を探求した。いつも家族から少し離れた目立たない場所でカメラの影に隠れていた、遠い昔に亡くなった親戚が残した輝かしいイメージを深く分析した、アーティストで哲学者のティーネ・メルツァー(Tine Melzer)のエッセーと家族のインタビューの書き起こしが批評的な試みをより完全なものにしている。ミミ・ボン・モースによるテキストも収録。

by Mimi von Moos

REGULAR PRICE ¥8,800  (tax incl.)

hardcover
298 pages
180 x 265 mm
color, black and white
2019

winner of The Most Beautiful Swiss Books 2019 (awarded in 2020)

published by EDITION PATRICK FREY