WOMEN PAINTING WOMEN

本書は、アメリカの「フォートワース現代美術館(Modern Art Museum of Fort Worth)」で2022年に開催された、作品の主題に女性を選んだ約50人の女性アーティストをテーマにした展覧会に伴い刊行された一冊。

本展は、先述のテーマに基づき、1960年代から現在に至るまでに制作された肖像画作品を約50点紹介しており、戦後の具象絵画の歴史において、国際的かつ広い範囲で見落とされてきた女性が持つ視点を再認識する試みがなされている。絵画は、伝統的に肖像画のための特権的なメディアであり、それは殊に白人男性アーティストが行使してきたものである。絵画作品に焦点を当てた本展では、女性と絵画を題材とし、そしてそれらを変革を起こすための手段として用いた女性アーティストを紹介している。それぞれアメリカ出身のエマ・エイモス(Emma Amos)やアリス・ニール(Alice Neel)といった先駆者から、アメリカ出身のジョーダン・キャスティール(Jordan Casteel)やイギリス出身のソマヤ・クリッチロー(Somaya Critchlow)、デンマーク・ポーランド系フランス人のアポロニア・ソコル(Apolonia Sokol)といった近年の新進気鋭のアーティストまで参加している。この全てのアーティストたちが、女性の身体、ジェスチャー、そして個性に焦点を当て、前面に押し出し表現している。

本書において重要となる文脈は、参加したアーティストがいかにして従来の女性の肖像画をきっかけとして、これまで男性中心的であった女性の身体に対する解釈とは異なった物語を伝えようとしているかという点である。身体や擬人化された自然、自我、肖像としての色彩といったテーマの探究を通して、女性の描き方を活性化したり、より入念なものにする新しい方法を思考しているのである。複雑性、リアリティ、惨めさ、美、困難、日常性や喜びに満ちた本書に掲載された肖像画作品群は、女性アーティストが男性アーティストと同じ立場を共有することで女性像を定義し、またその進化を表現する道を開こうと試みている。

REGULAR PRICE ¥8,250  (tax incl.)

hardcover
180 pages
217 x 271 mm
color, black and white
2022

published by DELMONICO BOOKS

published by MODERN ART MUSEUM OF FORT WORTH