パレスチナ出身のスウェーデン人アーティスト、タリク・キスワンソン（Tarik Kiswanson）の作品集。本書は2022年2月から5月にかけてスウェーデンの「ハッランド美術館（Hallands Konstmuseum）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

彫刻、文章、パフォーマンス、ドローイング、サウンド、ビデオアートを含む作品を用いて、根を張らないということや、再生、刷新について探る。作者の制作における多様性と、メティサージュ（ここでは複数の条件や文脈の間で書き、生き抜くという意）の詩学との深い関わりを考察する。作者は自身の作品について「境界、窓、虹彩と外の世界との間」と表現する。関連性のあるコンセプチュアルな種族の宇宙論を提示し、それぞれが独自に持つ言語を通じ、屈折、分裂、浮遊、混成、ポリフォニーといったテーマを探る。作者が取り組む置き換えと介在性の研究は、特に移民一世の中で何が失われ、何を得られるのかに関わっている。

作者は、フランスの現代アートシーンの国際的な促進を目的とした、「フランス現代美術国際化推進会（ADIAF  / Association for the International Dissemination of French Art）」主催の2023年「マルセル・デュシャン賞」の受賞者である。