OFFERING TO SAINT-MARTIN by Gabriel Kuri
メキシコ人アーティスト、ガブリエル・クリ(Gabriel Kuri)がベルギーのアートブックショップ「Saint-Martin Bookshop」の為に制作した作品。香港の葬儀で広く使われている「ジョス・ペーパー」は、死者と一緒に来世に昇るために儀式的に焼かれ、永遠の富や、故人が望んでいても手に入らなかったものを供える意味をもっている。作者はこの伝統儀式に着想を得て、願望、欲望、ステータスを表す物質的なオブジェクトをリアルなボリュームで制作。携帯電話やクレジットカードなど一般的なものから特定のブランドまで、日用品や消費財が描かれた紙製のオブジェが作者なりの「ジョス・ペーパー」として表現された。
作者は長年に渡って本の制作に関心を持ち続け、特に紙にはその物質性、情報や価値を運ぶという特性から、関心を寄せてきた。本という形態で作品が反響するのと同時に、軽量で持ち運びに便利な紙そのものは大きな存在でありながら、灰や煙になる可能性を秘めた脆弱な存在であることを示唆している。
2021年の6月に「Saint-Martin Bookshop」で開催された展覧会「OFFERING」に伴い、会場に依頼されて本作品を制作。展覧会の時には、特注の発泡スチロール材と木でできた中型クレートに同様のオブジェがはめこまれており、それらは作者が見つけてきたもの、購入したもの、制作したもので構成され、彫刻作品として展示された。かつて商業施設であった会場に訪れた人々にとっては見慣れたもの、ブリュッセルの日常生活や地元の美術史の面白おかしい引用として認識できるもの、異質で別の国から来たように見えるものなどが並ぶ。
by Gabriel Kuri
REGULAR PRICE
¥19,800
(tax incl.)