THE SHABBINESS OF BEAUTY by Moyra Davey & Peter Hujar

カナダ人アーティスト、モイラ・デイビー(Moyra Davey)の作品集。本作は、真夜中に電話で話す会話のように軽々と世代間の隔たりを飛び越えたヴィジュアルダイアログである。様々な分野で才能を発揮している作者は、アメリカ人フォトグラファーのピーター・ヒュージャー(Peter Hujar)のアーカイブからほぼ未発表のイメージを選んだ。そのヒュージャーのイメージに対する回答として、作者は2人に共通する主題を独自の感性で見出し、それに基づく作品を制作した。力強い構成が光る2人のイメージを並置したことにより、ライバル意識を持った友人同士がお互いを賞賛し、からかい、高め合っているような効果を演出している。イメージを通じて身体性とセクシュアリティを探求する、機知、優しさ、深い洞察に満ちたヴィジュアルダイアログはこうして完成した。ペンシルベニア州やカナダのケベック州でも撮影は行われたが、そのイメージはニューヨーク市を精神的なよりどころとし、都市と田舎、人間と動物の間の緊張関係を写し出している。そこではヌードの人物と手に負えない鶏が一緒にポーズをとり、人の身体は抽象化されて構造的な特徴だけが前面に押し出され、海岸と都市の風景はどちらも揺らめくような立体的感を持って表現されている。こうしてまとめられたイメージのシークエンスを引き立てているのは、ポストモダニズムを意識する作者と暗室での編集に力を入れている人間至上主義のヒュージャーというアプローチの違いだ。ぎこちないけれど豊かな対話を通じて2人は内面をさらけ出し、お互いの作品と交流することによってお互いがどんなアーティストなのかを我々に教えてくれている。

2人の世界は融合するというよりはむしろぶつかり合いながら共通のテーマの一群を描き出している。彼らのイメージが奏でる得体の知れない、しかし心地よいハーモニーは、ヒュージャーの壮麗な黒と感情が渦巻くデイビーの灰色という色の性質の違いよりももっと根深いところに端を発している緊張感によって相殺されている」―British Journal of Photography

デイビーの作品は、今の時代の考え方に囚われることなく、文学や論理に満ち溢れている。アーティスト、作家、思想家、人間として私は彼女を深く敬愛している」―マギー・ニルソン、Artforum

by Moyra Davey , Peter Hujar

REGULAR PRICE ¥7,150  (tax incl.)

hardcover
128 pages
170 x 240 mm
black and white
2021

published by MACK