イギリス人彫刻家、アントニー・ゴームリー（Antony Gormley）の作品集。本書は、2019年から2020年にロンドンのギャラリー「White Cube」での展覧会開催に伴い刊行された。鉄で作られた彫刻の2つのシリーズは、人が環境によってどの程度形作られ、どの程度環境を形作っているのかを問いかけている。

ヨハネス・グーテンベルク大学マインツで近現代美術史を教えるクリスティアン・ベルガー（Christian Berger）と作家、歴史家であり、オックスフォード・ブルックス大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの芸術史科講師を務めるタリア・アリントン＝ウッド（Thalia Allington-Wood）によるエッセイを収録。

右側にだけ開く折り込みページを随所に使用するなど、よく考えられた丁寧な作りは、インスタレーション作品に対するダイレクトな反応をそのまま本にしたようなユニークな1冊に仕上がっており、今日活躍している中でも最も高く評価されている彫刻家の1人である作者の重要な展覧会に相応しい。ロンドンの実験的なデザインスタジオ「Kellenberger-White」が、作者とスタジオとのコラボレーションのもとブックデザインを担当。ギャラリーでの展示の様子、各作品の全体像、ディテール、インスタレーションの様子など、作品を細やかに記録している。東京TDC賞2021ノミネート作。