REVUE CAHIERS D’ART, 2018, MIRÓ by Joan Miró
スペイン人アーティスト、ジョアン・ミロ(Joan Miró)の作品集。1926年にパリのサン=ジェルマン=デ=プレでクリスチャン・ゼルボス(Christian Zervos)が創刊した美術雑誌「カイエ・ダール(Cahier D’Art)」。1960年に廃刊となったが、2012年にスタファン・アーレンバーグ(Staffan Ahrenberg)によって、エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly) 特集号で復刊した。本「レビュー・カイエ・ダール(Revue Cahier D’Art)」2018年号は、作品と共に作者と「カイエ・ダール」の関係性を巡る、最も美しい文章で書かれたアンソロジーである。
作者のコレクションの未公開作品や小品も紹介、1936年の第1号から第4号のために作者が制作したステンシル作品をシルクスクリーンで印刷し、本号の表紙として採用した。また、スタファン・アーレンバーグとアーティストのミケル・バルセロ(Miquel Barcelo)によるインタビュー、同じくアーティストのヘレン・マルテン(Helen Marten)、ク・ジョンア(Koo Jeong A)、カレル・マリフ(Karel Malich)の作品も収録。
カタルーニャの美しい風景と物の根源的な力から、作者の作品は魔術的な拡がりや動作、理論を繰り広げてみせる。「カイエ・ダール」の創始者である芸術評論家のクリスチャン・ゼルボス(Christian Zervos)は、唯一無二のアーティストである作者を「当時最も抒情的な画家」、「最重要のポスト・キュービスト・アーティスト」と評し、その作品を絶え間なく追い、擁護しつづけた。実際のところ、作者は「カイエ・ダール」創刊当時の1926年から廃刊となった1960年まで誌面に登場し続けている。数多くの表紙を手がけ、特に有名なステンシル作品である「スペインを救え(Aidez l’Espagne! / Help Spain)」は1937年の第4号と第5号に掲載された。
本書では、作者の原始主義の偉大なる独創性を反映すると共に、作者のスタジオにあふれたもの、そしてその蔵書のいくつかに描き加えられた未公開の絵画、その二つのコレクションを紹介する。作家であるジャック・デュパン(Jacques Dupin)と作者の間で交わされた未公開の書簡に関するエリザ・シュラウニク(Élisa Sclaunick)のエッセイ、パルマのスタジオやバルセロナの「ミロ美術館(Fundació Joan Miró)」を設計した建築家、ホセ・ルイ・セルト(José Luis Sert)に敬意を表し著された、建築家・建築史家のジャン=ルイス・コーエン(Jean-Louis Cohen)によるテキストを収録。また、美術史家であり「ミロ美術館」のディレクターであるローザ・マリア・マレット(Rosa Maria Malet)のテキストではの同美術館の歴史を振り返る。
スタファン・アーレンバーグ、サム・ケラー(Sam Keller)、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)が編集を手がけ、ジョアン・プニェット・ミロ(Joan Punyet Miró)、 スタファン・アーレンバーグ、レミ・ラブルース(Rémi Labrusse)による序文、アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)、フアン・ラレア(Juan Larrea)、ドラ・ヴァリエ(Dora Vallier)らのテキストも掲載。