SCULPTURE by Lucio Fontana
イタリア人アーティスト、ルーチョ・フォンタナ(Lucio Fontana)の作品集。2022年11月から2023年2月にかけてニューヨークの「Hauser & Wirth」で開催された展覧会に伴い刊行された。この展覧会は、ルーチョ・フォンタナ財団と共同で、イタリア人美術史家のルカ・マッシモ・バルベロ(Luca Massimo Barbero)のキュレーションにより開催され、1920年代から1968年に作者が亡くなるまでの50年間に制作された彫刻作品が展示された。本展が開催されたアッパー・マンハッタンの69丁目にある「Hauser & Wirth」の所在地は、かつて伝説的な「マーサ・ジャクソン・ギャラリー(Martha Jackson Gallery)」があった場所でもあり、1961年にはそこで作者のアメリカでの初個展が開催された。
本書は、作者の彫刻作品に焦点を当てた初の学術的な作品集であり、異なる時代の作品群をまとめて考察し、作者の作品における連続性と進化を強調する。作者は、キャンバスを切り裂いた作品でよく知られているが、彫刻は作者のアーティスティック・プロジェクトにとって不可欠であり、その発展に極めて重要であった。本展のキュレーターによるエッセイでは、「フォンタナのジェスチャーにとって理想的な素材」としての陶磁器を探求し、テラコッタ、粘土、石膏、コンクリート、金属を用いた実験的な作品を再検証する。イタリア人研究者のクリスティーナ・ベルトラーミ(Cristina Beltrami)によるエッセイでは、戦後ヨーロッパの文脈の中で先駆的なアーティストとして作者を位置づけ、イタリアや海外のアーティストたちとの交流について探る。また、「ルーチョ・フォンタナ財団」のマリア・ヴィラ(Maria Villa)による伝記的エッセイも収録されており、常に革新的な彫刻活動を展開してきた、その実践を通して作者の生涯を辿る。本書は、2021年にロサンゼルスの「Hauser & Wirth」で開催された展覧会に伴い刊行された『Walking the Space』の姉妹編となる1冊。