MARRIED MAN by Natasha Caruana

ロンドンを拠点に活動するフォトグラファー、ナターシャ・カルアナ(Natasha Caruana)の作品集。2008年から2009年にかけて、作者は既婚男性たちと80回に及ぶデートをした。そして、デートをする度に使い捨てのカメラで1~2枚の写真を撮影した。そこには「不倫」というグラマラスでエキサイティングな響きとはかけ離れた、カフェでの食事の食べ残し、汚れたコーヒーカップ、弁当の蓋などが映されている。不倫用の出会いサイトを見つけたのをきっかけに、インターネットが現代の恋愛にもたらす影響に興味を持った作者は、18カ月にわたり50人以上の既婚男性とデートをし、多い時は1日に3、4回デートを重ねることもあったという。本書に登場する男性たちは、ドアの向こう側へ消え去っていく黒ずくめのシルエットであり、破れかけたジャケットの袖であれば、ワインクーラーの向こう側に見えるスーツの膝でもある。幅広い年齢層が読み取れる無数の手が、レシートをサインし、雨に濡れた傘を持ち、鍵をぶら下げ、落ち着きなく食器をいじり、優しく作者の手を握る様子が映されている。カタルシスとしてこのプロジェクトを始めたという作者だが、それは徐々にパフォーマンスとなっていった。男性たちはデートに行くことで妻を欺き、その嘘がカルアナの虚構に反響した。デートの相手が不倫者というペルソナに浸る度、カルアナは彼らのファンタジーの手助けとなるキャラクターを演じ、2人の間のテーブルは舞台と化した。彼女を驚かせたのは、男性たちがよく自分の妻について長時間話し続けたことだ。彼らの寂しさや、家族の中で自分がスペア・パーツのようだということを。結局、この男性たちが望むものは同情的な耳を傾けられること以外の何でもなかったのだ。

by Natasha Caruana

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hardcover
46 pages
240 x 200 mm
color
limited edition of 500 copies
2015

published by HERE PRESS