CHEVEUX LONGS... CHEVEUX COURTS by Katrien De Blauwer
ベルギー人コラージュアーティスト、カトリアン・デ・ブラウワー(Katrien De Blauwer)の作品集。2019年にベルギー・アントワープのギャラリー「GALLERY FIFTY ONE」で開催された同名展覧会に伴い刊行。過去作品に引き続き、本展でも 「カメラを用いない写真」を追求、1920年代から60年代までの雑誌を探し、その断片を用いて再構成する。様々な手法を実験的に用い、常に進化し続けている。常に作品の根底には「フィルムノワール」やヨーロッパの「アヴァンギャルド映画(前衛映画)」への言及が潜んでいるが、それは使用する画像そのものだけでなく、その扱い方からも見て取れる。その「断片」を、ハサミや鉛筆、絵筆などで「編集」し、そのシーンを物語の中に投入する。静止画で始まり静止画で完結しているにも関わらず、展覧会を見始めたり本書を開くことで、この想像性に溢れた作品は動き始めるのである。大切な部分を切り取り、残った部品も「関連したもの」として残し、予想だにしない本質に気づくようにする。その断片は作者の記憶の集合でもあり、それを用いてまるで作者が自分自身の物語を描くかのように登場人物である若い女性のストーリーを綴り、自分自身を振り返っている。本書のタイトルや、各章のタイトルとして用いられた女性たちの名前は、新聞や雑誌から文字だけをピックアップして収集した作者のノートから芽吹いたものである。('cheveux longs... cheveux courts by Katrien De Blauwer' 展プレスリリースより抜粋)
「この本の各章につけられたタイトルは、我々に夢を見させてくれたアイコニックなフランスの女優たちの名前にちなんで名付けられたが、同時にそれは『匿名』の女性にもなりうる。パリの通りや晴れた田舎道を渡り、その姿に我々は息を飲む。もしかしたら、彼女たちは皆カトリアンなのかもしれない。そしてそれこそが、この作品の世界へ入っていく方法なのであろう。」
ー Roger Szmulewicz(GALLERY FIFTY ONE オーナー)