DREAM IN THE RHYTHM by Grace Wales Bonner
ファッションブランド、「ウェールズ ボナー(Wales Bonner)」を創設した、ジャマイカ系イギリス人デザイナーのグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)の作品集。2023年11月から2024年4月まで「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」で開催された「Artist’s Choice Grace Wales Bonner&mdashSpirit Movers」展に伴い刊行された。1989年にアーティストのスコット・バートン(Scott Burton)が美術館のコレクションから「セレクトし、並べ、コメントするために招かれた」ことから始まったシリーズ「The Artist’s Choice」の一環で企画された、「MoMAコレクションのサウンドと精神のヴィジョン」である。
それ自体が「MoMAコレクション」の一部であるとも言える本書は、「ソウルフルな表現のアーカイブ」として作者によって生み出された一冊である。「MoMA」のコレクションとアーカイブに収蔵されている約80作品の素晴らしいセレクションを通して、イメージと詩、音楽とパフォーマンス、聴覚と触感、ジェスチャーとバイブレーション、そして動きの伴う身体などの多感覚的に訴える繋がりを辿る。
ダウード・ベイ(Dawoud Bey)、マーク・ブラッドフォード(Mark Bradford)、ロイ・デカラヴァ(Roy DeCarava)、リー・フリードランダー(Lee Friedlander)、デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)、グレン・ライゴン(Glenn Ligon)、スティーヴ・マックィーン(Steve McQueen)、ローナ・シンプソン(Lorna Simpson)、ミン・スミス(Ming Smith)、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)などを含む41名のアーティスト陣による写真、楽譜、映像が、アミリ・バラカ(Amiri Baraka)、ニッキ・ジョヴァンニ(Nikki Giovanni)、ラングストン・ヒューズ(Langston Hughes)、ジューン・ジョーダン(June Jordan)、ロビン・コステ・ルイス(Robin Coste Lewis)、イシュマエル・リード(Ishmael Reed)、グレッグ・テイト(Greg Tate) 、ジーン・トゥーマー(Jean Toomer)、クインシー・トゥループ(Quincy Troupe)、リネッテ・イアドム=ボアキエ(Lynette Yiadom-Boakye)など、黒人作家の先達が書いた目覚ましいテキストと並列されている。輝かしいシークエンスを描く本書は、ロンドンを拠点に活動中のデザイナーである作者本人によってキュレーションされたものであり、作者自身の鮮やかで天才的なデザインと共鳴する近代の黒人的な表現について、またそれを取り巻く非常にパーソナルな熟慮である。