STREET PORTRAITS by Dawoud Bey [SIGNED]
アメリカ人フォトグラファー、ダウード・ベイ(Dawoud Bey)の作品集。作者は、1988年から1991年にかけてアメリカの様々な都市でアフリカ系アメリカ人のポートレイトを撮り続けた。大判カメラを三脚に据え、インスタント写真と再利用できるネガを同時に作り出す独自のポジ/ネガポラロイドフィルムを使用。アフリカ系アメリカ人コミュニティの縮図ともいえる多くの人々にポーズを撮るように頼み、都市環境の一部であるストリートで自己表現とパフォーマンスの場を作り出した。ポートレイトを制作することを許してくれた人々にへの恩返しとして、作者は出会った全ての被写体にその人を写したモノクロの小さなポラロイド写真を進呈した。人種にまつわる固定観念に挑んだポートレイトには、カメラ、鑑賞者、そして世界に向かって自分たちの内面を惜しげもなくさらけ出してくれた被写体である黒人たちの、複雑で豊かな精神が露わになっている。アメリカ人ライターでありミュージシャンのグレッグ・テート(Greg Tate)によるエッセイを収録。
「このポートレイトは『黒人の眼差し』の持つ力の証明である。つまり黒人は、相手と正面から対峙し、決して視線をそらさないことによって、独前的な、あるいは思慮分別に欠いた無遠慮な決めつけに対抗することができることを示している。たとえ相手が目から炎の光線を出すスーパーマンのように(そしてあたかも自分の方が上であるとでもいうように)自分と同じくらい力強く、敵意のこもった眼差しで見つめ返してきたとしても」―グレッグ・テート(本作エッセイより)
「その距離感から対象への敬意が伝わってくるベイの作品は、会釈されて会釈を返すような優雅で親しげなジェスチャーではないでしょうか。そして彼の被写体はこのことをすぐに理解できるのです」―The New Yorker 誌
「日常風景の中で黒人を撮るという一見シンプルな行為を通じて、ベイは黒人であることが格好いいとされた、それどころか受け入れられるようになったずっと前に、美術という分脈にこの概念をもたらしていた」―The New York Times 紙
「ダウード・ベイは、これまで無視され、あるいは不正確に伝えられてきたコミュニティ―の協力の下に製作したポートレイトを通じて、社会的・政治的表現手段としての写真の可能性を批判的に再考した」―Artforum