AMERICA DRILL, 1963/2003 by Carl Andre
アメリカ人彫刻家、詩人、ミニマリストであるカール・アンドレ(Carl Andre)の作品集。
作者が手がけた詩の作品を見てみると、作品全体におけるこの創作の重要性が見えてくる。それは、作者が我々の知るミニマル・アーティストになる遥か前、9歳で詩を描き始めたからであろう。
本書は、アメリカ史における3つの要となるテキストからの抜粋で構成されており、それぞれ『レッド・カット(Red Cut)』、『ホワイト・カット(White Cut)』、『ブルー・カット(Blue Cut)』と題されたものが絡み合っている。
『レッドカット』は、南北戦争の退役軍人でありアメリカ陸軍の准将であったエベネザー・W・ピアース(Ebenezer W. Pierce)の『Indian History and Genealogy pertaining to the good Sachem Massasoit of the Wampanoag Tribe and his Descendants』(1878年)より引用。
『ホワイト・カット』は思想家、哲学者、作家、詩人であるラルフ・ワルド・エマーソン(Ralph Waldo Emerson)『American Indian History and Newspapers』(1820-1824年、1838-1841年)より引用。
『ブルー・カット』は飛行家であるチャールズ・A. リンドバーグ(Charles A. Lindberg)『我れ等(We)』(1927年)とアメリカ史研究者であるケニス・S・デイヴィス(Kenneth S. Davis)の『英雄─チャールズ・リンドバーグ伝(The Hero Charles A. Lindberg and the American Dream)』より引用。
作者は、本作を「3つの人種的悲劇をテーマとした長い詩」だと考える。「所有物としての領土の悲劇、所有物としての人間の悲劇、そして所有物としての全ての悲劇」であると。
テキストは作者本人がタイピングし、短冊上に切り分け、別で用意した同じ種類の紙に貼り直し、ゲーデル数に沿って短冊を差し込んだ。本文に句読点は用いず、一定の引用に対し、大文字から小文字まで様々なフォントが使用されている。
ニューヨークの「ポーラ・クーパー・ギャラリー(Paula Cooper Gallery)」との共同刊行。ナンバリング入り。
EXHIBITION:
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間
会期:2024年3月9日(土)- 6月30日(日)
休館日:月曜(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
時間: 9:30 - 17:00
開催場所:DIC川村記念美術館
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