AINO + ALVAR AALTO: A LIFE TOGETHER by Heikki Aalto-Alanen
フィンランド人建築家アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)と、同じく建築家でありその妻アイノ・アアルト(Aino Aalto)の作品集。20世紀における最もアイコニックな作品群の一部をデザインしてきた夫婦のビジュアル・バイオグラフィーである。
アアルト夫妻は共同で「アルテック(Artek)」を創立し、20世紀における最も名高いデザイン作品や建築を生み出した。資料、ドローイング、家族写真、互いや家族、友人、同僚に送られた今まで公開されたことのなかった手紙を引用し、夫妻の孫息子であるヘイッキ・アアルト=アラネン(Heikki Aalto-Alanen)によって、アイノが亡くなった1949年までにおけるフィンランド内外で二人が共に歩んだ人生の物語を綴る。二人による努力の賜物として、夫妻の人生と仕事を讃え詳細に調べた初のモノグラフであり、20世紀の最も影響力の高いデザイナー夫妻の型破りな人生に、パーソナルかつ親密な眼差しを向けている。個人的な手紙やスナップショット、スケッチなどを含む一家の未公開のアーカイブをもって、夫妻の孫息子により心をこめて、明快に執筆されている。
アルヴァの生まれた1898年から数えて125周年を記念し、夫妻が手がけた名高いガラス食器のデザインから着想を得たにした布貼りの装丁に仕上げられている。アルヴァは20世紀の建築界において影響力の大きい人物として広く知られているが、本書では才能あふれるデザイナーとしての功績にも注目している。夫妻は揃って「ヴィープリの図書館(Viipuri Library)」や「パイミオのサナトリウム(Paimio Sanatorium)」など著名な公共建築物から、「マイレア邸(Villa Mairea)」のような個人住宅までをも手がけた。また、フィンランドの現代アートとデザインで知られる「アルテック(Artek)」社を共同設立。ベントウッドチェアからガラス食器、織物、セラミックなど多様なデザイン分野にわたり、「アルテック」は夫妻の創作の遺産を体現しながら育ち続けている。
本書では、スケッチや写真、ドローイングを通じて夫妻の主要なデザイン・プロジェクトを紹介すると共に、初期の旅行から1949年のアイノの急逝まで、夫妻が共にした人生を辿り、明らかにする。家族旅行、ロードトリップや第二次世界大戦中の国外への冒険などの旅行のアルバムから抜粋した写真を収録。お互いや、家族、友人、同僚と交わされた手紙の記録が他では知り得ない夫妻の人格を見せ、さらには夫妻の孫息子であり本書の著者であるヘイッキ・アアルト=アラネンによる明快なテキストによる歴史的コンテクストがそれをより完全なものとしている。
「
手紙を通じて、アルヴァとアイノの声が聞こえるのだ。(手紙によって)アイノとアルヴァが、それぞれの言葉をもって、この並外れた夫婦が共に過ごした年月の日常がどんなものだったか、何を考えていたか、語らせてくれるのだ」ーヘイッキ・アアルト=アラネンの序文より