ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、リナ・サン・パーク（Lina Sun Park）の作品集。本書は作者にとって初のモノグラフであり、常識を超えた工芸品と写真という媒体をを用いて制作された作品群を収録する。

刹那的な素材やテキスタイル、個人的な意味を持つアイテムを巧みに操ることで、本書は奇妙で気まぐれな世界を作り出している。そこでは夢は叶い、そして夢を見続けられるのである。

「この不思議で広い家の中、小さな白いネズミがリボンのステッチとパンくずで足跡を残す。時には来た道を戻り、また時には見たこともない部屋を発見する。小麦粉の柔らかい丘を小走りで横切り、優雅なビロードの川を漂う。パンでできたバラをたいらげ、長い、つややかなシルクのリボンをゆっくりと降りて行く。彼女にとってこの家は無限のようだった。ある日、ネズミは部屋から部屋へと渡り歩いていくと、急に『この家の部屋は夢いっぱいだ。夢は叶っていき、夢は夢で見続けられている』とささやいた。ここでは、家の多くのものがそうであるように、リボンがさまざまな形で存在する。一本のリボンが織り成す不可解な錬金術なのだ。結局、結ばれるものが全てのリボンの夢なのだろう。日を追うごとに、彼女の尻尾はリボンのように見えてきたと言えるかもしれない。おそらく、それも夢なのだろう」－リナ・サン・パーク