北マケドニア人ヴィジュアルアーティスト、イヴォ・セクロフスキ（Ivo Sekulovski）の作品集。個人、アーティスト、家族、国、そして写真そのものを横切るアイデンティティ・クライシス（自己同一性の喪失）を簡明に探る一作。作者はイタリアに住みながら帰属意識と闘い、故郷である北マケドニアの都市オフリドでこのプロジェクトに着手した。

本書は視覚的な謎解きシリーズが集まったようにも読め、どのページにもヒントやシンボルが賑わっている。あるものは幅広く一般的にも読みやすく、またあるものは深すぎて救いようもないほどに個人的で理解し難い。その中で作者は、写真や現実、真実の間で葛藤する関係性に常に翻弄されながら、家族の原動力、祖国を構成する多数の文化、散り散りになった自己意識を探り、解剖していく。この全てのテーマの間に存在する境界線を曖昧にしてしまうような不穏な力が作用し、家族の記録写真、演出的に写された両親の写真、汚れのない不気味な静物写真が混ざり合っていくのを我々は目撃するのである。

そのメディアはストーリーに合っている。画像というものは、謎を秘め、現実を曖昧にぼやかす。イヴォの写真遊びは、時間、真実、記憶、現実に対する疑問を投げかける。－キアラ・バルデッリ・ノニーノ（編集者）