FRANKFURT COPIES by Daniel Poller

ドイツ人アーティスト、ダニエル・ポラー(Daniel Poller)の作品集。作者の作品群は、都市空間における建築の再解釈とその歴史を書き換えることを中心的なテーマとしている。2012年から2018年にかけてドイツ・フランクフルトの中心部に「ノイエ・アルシュタット」つまり「新しい旧市街」が再建され、工事が進行する中、「スポリア」という古代の建物から他の建物に転用された石材と、ファサードで用いられた歴史的な色の復元に基づいた色彩設計、その2つのデザイン要素が使用された。この2つは、建設工事の進行に伴い新聞で繰り広げられた激論の中、歴史の信憑性を示す主な証拠となった。しかしながら、これらの引用要素はアイデンティティの構築を目的とする直線的な歴史の流れを示唆する以外役割を果たしておらず、大概パスティーシュ(作風の模倣)として読み取ることしか出来なかった。 本書は、オーバープリントを用いて「ノイエ・アルシュタット」の再建に使用された全てのスポリアの写真とその建物の色を組み合わせている。本書におけるシークエンスのリズムは、異なる「新旧市街」を巡るように構成されており、それは史実性を自ら認め、歴史的な過程がパリンプセスト(※註)として可視化される空間的シークエンスなのである。

註 書かれた文字等を消し、別の内容を上書きした羊皮紙の写本

by Daniel Poller

REGULAR PRICE ¥7,260  (tax incl.)

hardcover
166 pages
245 x 345 mm
color, black and white
2022

published by SPECTOR BOOKS