フランス人アーティスト、セバスティアン・ルーゼ（Sebastien Reuzé）の作品集。

「 3，2，1、撃て！」
2012年から2013年にかけて撮影されたこの作品は、ドローンパイロットのある日を追った写真による架空の物語である。

「 夜に私は砂で覆われた大地を車で突っ切る。ハンドルに両手をかけ、軍用ドローンを飛ばすことになっているインディアンスプリングスに向かって高速道路をひた走る。画面全体を粗いピクセルが覆っている。夢と現の境目が曖昧になり、自分は夢の中で生きているのか、それともこれが現実なのかといつものように自問自答する…コーヒーの自販機、ありふれたジェスチャー、皮のアームチェアに腰を下ろす。真っすぐに立つジョイスティック、マルチスクリーンのコンソール。ゲームが始まる。画面にグリッドが大映しになると、私は色とりどりの点の海に降り立ち、遠くに見える脈打つ水平線に向かっていく。たちまちグリッドの線に取り囲まれたかと思うと、私は完全にバーチャルリアリティーの中にいる。気分が良い。その日初めて実際には触れることができないバーチャルの世界の中のものに触れる時、私はいつもと同じ新鮮な驚きを覚える。ある1点に固定されたままで私は、目にも見えず攻撃もできない存在になり、クロースアップで見ると広大な領域を支配する」