KLARA KÄLLSTRÖM & THOBIAS FÄLDT - HASSELBLAD FOUNDATION by Klara Källström, Thobias Fäldt

スウェーデン人フォトグラファー・デュオ、クララ・カールストロム(KLARA KÄLLSTRÖM)とトビアス・ファルト(THOBIAS FÄLDT)の作品集。2023年5月から9月にかけて「ハッセルブラッド財団(HASSELBLAD FOUNDATION)」で開催された展覧会に伴い刊行されたものであり、2011年から2021年の作品がまとめられている。「WALTHER KÖNIG」、「B-B-B-BOOKS」、「ハッセルブラッド財団」3社の共同刊行となる一冊。

二者の新作である本書には、過去に刊行された12冊の本の複写が掲載されている。プログラマー、出版者であり、匿名による内部告発および機密情報の漏洩を伝播させるウェブサイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」を創設した活動家のジュリアン・アサンジ(Julan Assange)とその「ウィキリークス」にまつわる膨大な作品群は、型にはまらないナラティブ(物語)を探求することについてのコミットメントの最も印象的な一例かもしれない。現在進行中のプロジェクトとしては、米国の戦争犯罪を暴露した後のアサンジのメディア・イメージを観察している。アサンジの言い分の欠落部を掘り下げることにより、作者たちは反民主勢力と報道の自由に対する非難を明らかにしている。具体的には、ギリシャの経済危機から始まり、ヨーロッパの移民問題、イギリスの欧州連合離脱、そして新型コロナウィルス感染症のパンデミックに繋がる一連の事象において一つのグローバルなメディア・ナラティブしか存在しないように思わせられていることに焦点を当てた「Europe, Greece, Athens, Acropolis」(2011年)や「25 Lemon Trees, No Gardeners」(2015年)などのプロジェクト例がある。そこで重要な問いとなるのは「一つのナラティブが我々の注意を引く時、何が不可視のままとなっているのか?」ということである。

世界的な出来事に対するメディアの描写を観察することに加えて、作者らは集団の意識から消えて忘れ去られたストーリーも研究している。プロジェクト「Village」(2013年)は、フランス語と英語を優先とすることで消滅した先住の言葉を可視化し、カナダにおけるフランスとイギリスの植民地としての歴史をテーマとしている。「Russian Bang」(2012年)と「The Swedish Matter – or the Issue of the Gramophone Mind」(2018年)では、絶対的な真実の危険性と自己批判の欠如をー北半球の民主主義社会においてもー強調している。

この二人の作品の特徴は強いソーシャル・コミットメントである。二人にとって初となるこの回顧展では、メディア、権力、そして歴史をテーマとした作品が展示された。現代社会の支配形態について批評的であると同時に写真がどうやってそのようなナラティブを生み出しているのかを探求するよう鑑賞者を誘う。展示の主軸とも言える写真集への多大なる興味が制作の決定的な一面である。

作者らの作品の指針となるのは、眼に見えるものと語られているもののズレである。制約、挑戦、写真の可能性を追求することで、二者は公式の歴史、そして現代のナラティブの中で見過ごされている部分を露見させている。そこにあるのは微妙なニュアンスや、批判的な視点、疑問であり、これらが難しくも厄介なストーリーなのである。カールストロムとファルトの作品に登場しなければ、普通は公表されるプラットフォームを持たないであろうストーリーだ。周りの世界に対する新たな視点と変幻自在の写真の役割を明らかにする、興味深いストーリーにのめり込む機会を与えられているのだ。

自身のイメージと発掘したアーカイブ素材の両方を用いることで、二者は写真における伝統的なドキュメンタリーの手法や戦略と調査報道を組み合わせている。アーティスト、グラフィック・デザイナー、作家やクリエイティブな人々とのコラボレーション、特にジャーナリストのヨハネス・ヴァールストレム(Johannes Wahlström)との共同作業に関しては、作者たちの活動の不可欠な要素であり、本は主たる表現方法である。「ハッセルブラッド財団」での展覧会で展開されたプロジェクトはその事実を表明し、制作過程、無形性、アーカイブ・マテリアルに焦点を当てている。各プロジェクトの初期段階で二人は、シンプルで安い紙に写真とテキストを組み合わせ、研究の基礎の一形態を作り出す。ストーリーはそこから精巧な写真集へと進化する。過去12年間のリサーチの素材は包括的なアーカイブとなった。これらの資料は、展覧会と本書の核を作り上げている。加えて、各プロジェクトから選出されたイメージのセレクションがオーバーヘッドプロジェクタで会場の壁に投影されている。そんなプロジェクションの儚さとは対照的に、そこにあるのはイスラエル・パレスチアのビーチにあったタイルの破片、キューバのフィルム・ロールなど、作者らのストーリーには必要不可欠なユニークなアーチファクトである。

この新刊500冊を展覧会の会場に集めることも本展覧会の極めて重要な要素であった。そうすることで、2者の活動の回顧展においてブックメイキングが展覧会のパートとして主要であり当然であることを表している。

ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)」で写真部門総合ディレクターを務めるダンカン・フォーブス(Duncan Forbes)によるエッセイが含まれている。

by Klara Källström , Thobias Fäldt

REGULAR PRICE ¥14,300  (tax incl.)

softcover
472 pages
255 x 345 mm
color
2023

FIRST EDITION

published by B-B-B-BOOKS

published by WALTHER KÖNIG