CONCRETE OCTOPUS by Osamu Kanemura

日本人写真家、金村修の作品集。本作は、2002年に発表され評価を得た作者の作品「SPIDER′S STRATEGY」から派生、2011年から2013年の間に撮影したモノクロ写真で構成され、カルト的日本人写真家たる存在感を示す一作。東京を拠点とする映画批評家、クリス・フジワラが本作にテキストを寄稿。作者の写真のロジックを読み解き、新たな見方を提示している。

この写真たちを「日本の現代のイメージ」と呼ぶことは、完全に的外れでもないことは明らかだが、奇異なミスリードに思える。社会史の研究者達にも多くを語る写真でもあろうが、写真の持つドキュメンタリー的な機能は、歴史的ないし文化的な形式として認識されるにはあまりに分裂的で不完全すぎる視覚的世界を探求することへの関心によって、制限されてしまっている。これらのイメージのなかで、世界は偉大な純粋さを伴って、かつ挑発や誘惑もなしに自らを提示し、あたかもカタストロフィーが繰り返されながらそのこと自体が忘れられてしまう以前の姿にとどまっているからだ。(中略)写真のなかの事物は、静かに退却している。これらの事物に何も起こるはずがないと思えるかもしれない。しかし、こう感じることのなかに休息はない。なぜなら、イメージを提示する抽象化された狂乱のなかに捕らえられていてもなお、事物は我々と同様に沈黙しつつ未来を求めているからだ。
―クリス・フジワラ「退却しつつも、休息はなく」

by Osamu Kanemura

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hardcover
88 pages
300 x 189 mm
black and white
2017

published by PIERRE VON KLEIST EDITIONS