HEART OF HEARTS by Miyoko Ito

日系アメリカ人アーティスト、ミヨコ・イトウ(Miyoko Ito)の作品集。作者の作品に徹底的にフォーカスした作品集としては初となる。

これまで世にあまり出ていなかった、豊かに感情をかきたてる作者の抽象表現主義作品を集めた一冊であり、ニューヨーク・タイムズ紙の「Best Art Books of 2023」に選ばれている。

本書は、作者の人生と作品に捧げられた初の出版物であり、数年にわたる作品を研究した成果でもある。カリフォルニア州バークレーで日系の両親のもとに生まれ、「カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)」で水彩画を学んだ。一カ月後に卒業を控えた1942年、作者はサンフランシスコの南に位置する強制収容所「タンフォラン集合センター(Tanforan Assembly Center)」に送られた。夫よりも数年早く解放された作者は「シカゴ美術大学(School of the Art Institute of Chicago)」に転校したが、卒業することはなかった。1981年にシカゴで非公式に結成された「アリューシヴ・アブストラクショニスト(Allusive Abstractionists / 言うなれば「比喩的抽象表現主義」)」としておおまかにまとめられている作者だが、他の同派作家による作品とは異なり、その幾何学的構成の多くは風景やインテリア、人体を思わせる。水平に引かれた絵の具の層が不規則な形を描いており、まるで水平線上に浮かぶ太陽のような、濃淡にぼかされた効果(オンブレ効果)を生んでいる。一度に一枚のキャンパスのみと向き合う作者の技術的正確性は、日の出から日の入りまで、それも大概は週に7日間、スタジオで描き続けるそのゆったりとした作業プロセスに表れている。1978年のインタビューで、作者はこう明かしている。「絵を描くこと以外に居場所がない。私にとってもっとも生きる力を与えてくれるものなのだ」。

最近では「マシュー・マークス・ギャラリー(Matthew Marks Gallery)」や「アーティスト・スペース(Artists Space)」、「バークレー美術館・太平洋フィルムアーカイブ(Berkeley Art Museum and Pacific Film Archive / BAMPFA」などで開かれた展覧会のテーマにもなった作者の絵画作品だが、これまでも、現在においても、その優美かつ謎めいた抽象表現は、作者が成人になってからほとんどを過ごしキャリアを築いたシカゴの外ではほとんど知られていない。「Pre-Echo Press」と、ほぼ40年ぶりに組織的に開催された作者の二つの個展のキュレーションを務めた、インディペンデント・キュレーターでありライターのジョーダン・スタイン(Jordan Stein)によって刊行が実現した本書には、100点以上ものフルカラー作品、アーカイブ資料、1978年に行われたインタビューに、作者の活動をその背景をふまえて考え、戦後アメリカのアート史の中にふさわしい座を授けるべく書かれた5,000ワードの伝記的エッセイを収録する。

テキストはジョーダン・スタイン、インタビューはアーティストであるケイト・ホルスフィールド(Kate Horsfield)が担当する。

by Miyoko Ito

REGULAR PRICE ¥16,500  (tax incl.)

softcover
460 pages
241 x 292 mm
color, black and white
limited edition of 2,500 copies
2023

FIRST EDITION

published by PRE-ECHO