COOP A-SCRIPT by Fia Backström
スウェーデン人アーティスト、フィア・バックストローム(Fia Backström)の作品集。2点のパフォーマンス作品の台本を基盤に、作者による視覚言語や話し言葉、グローバルなコミュニティ、官僚的な専門用語、気分障害やコミュニケーション障害に関する探求をさらに拡張させた一冊。本書の第一部である「Aphasia as a visual way of speaking, on A-production and other language syndromes」は、4つのパートに分けられたテキストから成っている。この台本がニューヨークの「The Poetry Project」で公演された際、作者は台本を会場の床や壁にグリッド状に並べてみせた。作者は床の上で身体を移動させるようにしてテキストを読み、そうすることでテキストの線形を基盤とした構造を分解し、その身体が原稿に触れるたびに新たなテキストを挿入した。本書では、分解のプロセスを残すために、別のテキストのかたまりを4パート内にランダムに配置し、数学記号を用いて文章の各部分とリンクさせた。よって、物質的な作者のパフォーマンスと同じように、読者はバラバラで非線形に台本を読むことができるのだ。
第二の台本の「ME must be turned upside down to become WE」は第一の台本のエピローグであり、複数の演者が「最初から最後まで、セリフを割り当てられることなく、順番を与えられることなく、時には同時に読み上げる」ように進めなければならない。
EメールやiPhoneのメモ、科学論文まで、作者自身が制作に用いた資料やテクノロジーを振り返るために、本書は図表によって展開される。英語と、作者の母語であるスウェーデン語から選り抜かれた数多の要素をハイブリッドなスタイルで収めた。こうした言語の掛け合わせは、誤訳や記述的言語がいかに地理学的境界線やメディア・フレーム、社会的コミュニティを越えて、実用的かつ進化し続ける言語として機能するかということに対する作者の関心を明確に表している。