アーティスト・コレクティブ「GALA Committee」による、ゴールデンタイムのテレビ番組「Melrose Place」への2年に亘る革新的な介入の記録を残した一冊。もともと1998年に限定刊行された非常に貴重なアーティストブックであったが、今回複製版として再版された。

中国系アメリカ人アーティスト、メル・チン（Mel Chin）は「ロサンゼルス現代美術館（Museum of Contemporary Art, Los Angeles）」での展覧会に招待された際に、ゆるいアーティスト・コレクティブ「GALA Committee」を1995年に始動した。そして、ソープ・オペラ用のオブジェをコレクティブが作れるよう「Melrose Place」のプロデューサーらと調整し、結果、それは番組の2シーズンの間、プロット・デバイスやプロップとして使われた政治的で膨大な作品群となった。「GALA Committee」の介在は、リプロダクティブ・ライツやHIV・AIDS、湾岸戦争、国内テロ、企業の不正、薬物乱用などに関する密かな注釈を提供していた。これらのようなトピックが当時の連邦通信委員会（FCC）によって禁じられていたのにも関わらず、コレクティブの政治批判は検閲を掻い潜り、企業ないし政府によるゴールデンタイムのテレビの支配を漸進的な計略で覆した。

これらの作品は1997年に、「ロサンゼルス現代美術館」の「Uncommon Sense」展で展示され、その後、チャリティーを支援するべく、サザビーズでオークションにかけられた。チンとディレクターのヘレン・ナッギー（Helen Nagge）によって生み出された本書は、その夜のオークション・カタログの役目を果たし、展覧会に向けて制作された作品の記録と共に、「GALA Committee」のコンセプチュアル・フレームワークを明瞭に述べている。