アメリカ人ビデオ・インスタレーションアーティスト、ダラ・バーンバウム（Dara Birnbaum）の作品集。

2022年6月から11月にニューヨーク、アナンデール・オン・ハドソンの「バード大学ヘッセル美術館（Hessel Museum of Art, Bard College）」で開催されたアメリカ国内初の回顧展「Dara Birnbaum: Reaction」、2022年8月から11月までペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギー・メロン大学内「The Miller ICA」で開催された、新作『Journey』を含む展覧会「Dara Birnbaum: Journey」に伴い刊行された。

作者は、50年にわたるキャリアを通じ、「見る」ことのプロセスを確固たる姿勢で追って解剖し、マスメディアや情報、イデオロギーを受動的に摂取していることに対し、ビデオ、コンセプチュアル作品、パフォーマンス、アプロプリエーションなど、様々な手法で闘ってきた。メディアそのものが長年にわたり発達してきた中で作者は、一貫して高い先見の明と生命力を持ち続け、新しいテクノロジーを取り入れながら、何世代もの若いアーティストたちに試金石を提示してきた。

本書は、動画やメディア・アートの分野で先導して活躍してきた批評家やキュレーターによる独自の考察を盛り込みながら、作者の手がかりを探る重要な作品やコンセプトを検証する。絶えず関与と反応を求めてくるメディアとテクノロジーを背負った文化の渦の中で、作者がいかにしてその実戦によって多くのことを教えてくれるのかを気付かせてくれるだろう。