THE CONTEXT by Alexandro Segade
アメリカ人アーティスト、アレハンドロ・セガーデ(Alexandro Segade)の作品集。批評理論、ミニマリズム、構成主義などの知識を駆使して、帰属をテーマにしたクィアなたとえ話としてスーパーヒーローコミックを再構築している。
ニューヨークを拠点に活動するアーティストで劇団「My Barbarian」のメンバーでもある作者によるこのグラフィックノベルは、どういうわけか生命の存在しない空虚な空間を共に漂っていた、バイオパワー(Biopower)、カセクシス(Cathexis)、ベアライフ(Barelife)、オブジェクター(Objector)、ドライブズ(Drives)、フォーム(Form)という、異なる世界からやってきた6人のスーパーヒーローの物語である。それぞれ批評理論から引用された概念にちなんで名付けられたヒーローたちは、しばしばセックスシーンのようにも見える緊迫した戦闘シーンや、説明文に見せかけた哲学的な論争で互いにわたり合う。
幼い頃からスーパーヒーローというジャンルのファンであり、近年は批評家としても活躍する作者は、著者、下書き、インク入れ、色塗り、レタリング担当と、1人ですべての役割をこなすソロパフォーマンスとして初のグラフィックノベル制作に取り組んだ。本作は、コンセプチュアルアート、ミニマリズムアート、オプアート、構成主義の美学を通じてグラフィックノベルという形式を考察すると同時に、『シルバーサーファー(Silver Surfer)』、『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ(Legion of Super Heroes)』、『グリーンランタン(Green Lantern)』、『アダム・ウォーロック(Adam Warlock)』、『エックスメン(X-Men)』など、1970年代から80年代にかけて生まれた偉大なSFコミックにオマージュを捧げている。