アメリカ人アーティスト、レイモンド・ペティボン（Raymond Pettibon）の作品集。政治的な名作を集めた1冊。

南カリフォルニアのアンダーグラウンドカルチャーのパイオニアである作者は、1970年以降、社会の辺縁を生きる若者の逸脱から美術史、文学、スポーツ、宗教、政治、セクシュアリティに至るまで、様々な概念の「ハイ」と「ロー」の境界を曖昧にしてきた。偏執的なまでに詳細に描き込まれたドローイングには、幅広い文化から得た多彩なインスピレーションが自由に取り入れられている。

こうして生まれる非常に詩的な構成は、現代社会を鋭く正確に映し出す鏡として機能する。ペティボンは長年政治家や歴史的な出来事をテーマにしてきたが、2011年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降はこの傾向が特に強くなっている。

ロナルド＆ナンシー・レーガン夫妻（Ronald and Nancy Reagan）、元連邦捜査局長官J・エドガー・フーバー（J. Edgar Hoover）、ブッシュ親子（Bush senior and junior）、ケネディ一家（the Kennedys）、アドルフ・ヒトラー（Adolf Hitler）、バラク・オバマ（Barack Obama）、オサマ・ビンラディン（Osama bin Laden）などの人物に加え、ベトナム戦争、イラク・アフガニスタン戦争、アブグレイブ刑務所における捕虜虐待、抗議運動などのシーンを描いたドローイングを掲載。