REAL REVIEW 13 Issue for Winter 2022
イギリスの建築家ジャック・セルフ(Jack Self)が主宰する「REAL foundation」刊、「what it means to live today」をテーマにした季刊のコンテンポラリー・カルチャー誌『REAL REVIEW』の第13号。本号のテーマは「MINING THE PAST」。本誌のオリジナルデザインはイギリスの出版社「IN OTHER WORDS」を主宰するデザイン・スタジオ「OK-RM」が手がける。
すべての時代は同等に、そして一斉に現れる。過去はもはや整然と後退するのではなく、現代を装っていつでも再浮上する恐れがある。ノスタルジアの周期は早くなっている。古いものが、現在のトレンドの不可欠な構成要素として戻ってくる。未来は、もう望ましいものでも、予見できるものでもない。同時に、この時代の無秩序は、明日を今日とそっくりにするためのアルゴリズムによる広大なプロジェクトであることを隠している。それは、過去を制するものは未来を制し、現在を制するものは過去を制するということである。
過去は誰のものなのか?アメリカ人ファッションエディター兼コラム執筆家のロビン・ジヴハン(Robin Givhan)に、多元的な歴史について本号でインタビューを敢行する。ドイツ人アーティスト、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)は、写真の上から絵の具で塗りつぶした作品シリーズの複製画を再現する。イギリス人作家のフィリパ・スノウ(Philipa Snow)は、レザージャケットをレビューする。ファッションブランド「バレンシアガ(Balenciaga)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるマルティーナ・ティーフェンタラー(Martina Tiefenthaler)と建築家であり本誌主宰のジャック・セルフ(Jack Self)は、ファッションにおける過去との周期的な関係について語り、アメリカ人哲学者のクリストファー・シャベーグ(Christopher Schaberg)は航空会社を利用した旅行の混乱についてレビューする。ディレクターでありプロデューサーのダーシー・トーマス(Darcy Thomas)は、気候変動の「損失と損害」の補償と奴隷の歴史について語る。建築家兼ライターのソフィア・アラミ(Sophia Alami)は、「コンシャス・パーティー(conscious parties)」を、レオン・バッチェラー(Leon Batchelor)は地質時代区分の一つである石炭紀(Carboniferous period)についてレビューする。
2001年生まれの歴史家、ミナ・ポーロ(Mina Polo)は20世紀について振り返り、デザイナーのマルティン・シグラー(Martin Sigler)は「ブラック・ビーイング(Black Being)」、ドイツ人哲学者マルティン・ハイデッガー(Martin Heidegger)、「ネグリチュード(黒人性)」をレビューする。アーティストのジョーダン/マーティン・ヘル(Jordan/Martin Hell)は、問いかけることの冒涜について語る。さらにジャック・セルフは、フルフィルメント(充足感)の延期と住宅問題を、パトリック・マックグロー(Patrick McGraw)とリアム・デンハマー(Liam Denhamer)は2部屋構成のアパートをレビューする。イギリス人ライターのハリマ・アリ(Halima Ali)は家庭内(非)機能主義について批評する。オーストラリア人建築家のエミリー・サンドストロム(Emily Sandstrom)は、アーティストユニットの「modem」が描くスマートシティーのビジョンをについて語り、ライターのダイアン・ポルヘムス(Diane Polhemus)は、英国トラス政権の戦略「トラスノミクス(Trussonomics)」を批評。タニヤ・アナンド(Tanya Anand)は、キーワードとジェネラティブアートを、クリスティーン・スミス(Christine Smith)は蜘蛛の夢についてレビューする。