REZA SHAFAHI, THE DIARY OF A GAMBLER by Reza Shafahi
イラン・テヘランを拠点に活動するアーティスト、レザ・シャファヒ(Reza Shafahi)の作品集。作者は70代でアーティストとしてキャリアを始め、それ以前の数十年間はギャンブル依存症と闘っていたため家族とはほとんど無縁の生活を送っていた。依存から抜け出すきっかけとなったのが、息子でありアーティストのママリ・シャファヒ(Mamali Shafahi)にデッサン教室に誘われたことである。本書では、作者の作品が初めて蒐集されており、その芸術活動の全容が紹介されている。パリを拠点とするライター、ジーナ・カイヤー(Jina Khayyer)により編集された本書は、作者が2019年に初個展を開催したニューヨークのギャラリー「Club Rhubarb」で、オーナー兼創設者であるトニー・コックス(Tony Cox)と息子ママリのキュレーションによりセレクトされた作品が収録されている。
作者の魅惑的な物語は、インテリア雑誌『Apartamento』の第29号で初めて紹介されており、本書ではカイヤーが行った当初のインタビューを一人称に変えて再構成されている。また、ルーミー(Rumi)、オマル・ハイヤーム(Omar Khayyam)、サアディー(Saadi)といったペルシア古典文学を代表する詩人たち、そしてより現代的な位置付けにあるイラン人詩人フォルーグ・ファッロフザード(Forough Farrokhzad)による詩は、作者の生き生きとして官能的な創作に明らかな影響を与え、本書ではこれらの詩をペルシャ語と英語訳で紹介している。作家兼編集者のマイケル・ブロック(Michael Bullock)、キュレーターのマーサ・キルゼンバウム(Martha Kirszenbaum)、息子ママリ、トニー・コックスによる寄稿文は、キルゼンバウムの言うように、「輝きと柔らかさ」を放つ作者の軌跡に、さらなる文脈を提供している。