WHITE SHADOWS IN BLACKFACE by Kara Walker, Robert Hobbs
高い評価と影響力を誇るアメリカ人アーティスト、カラ・ウォーカー(Kara Walker)と、アメリカ人美術史家でありキュレーターのロバート・ホッブス(Robert Hobbs)による作品集。
2002年、ウォーカーはブラジルのサンパウロで開催された大規模国際展覧会「サンパウロ・ビエンナーレ国際美術展(Bienal Internacional de Artes de São Paulo)」のアメリカ合衆国代表として選出された。その展覧会と、同年後半にドイツで最も古い美術協会のひとつである「ハノーファー美術協会(Kunstverein Hannover)」で開催された個展に際し、ホッブスは、ウォーカーの作品に関するエッセイを書き下ろした。本エッセイは、ウォーカーの作品に関する最も深く本質的な研究の一つであるにもかかわらず、アメリカ国内で未流通の書籍であったため、「KARMA」より新装版として2023年に刊行されることとなった一冊である。
過去30年の間に最も称賛を受けたアーティストのひとりとして、ニューヨークの「ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)」での大規模展覧会を含む93回を超える個展の開催という功績を持つ作者は、南北戦争前の時代に記憶を遡ったアフリカ系アメリカ人と白人との関係について、厳しく批判的で挑戦的、独創的な表現を繰り広げることで知られている。ホッブスは分析の中で、作者の芸術表現における5つの主要な原典 –「ブラックフェイス・アメリカーナ(Black face Americana)」、ハーレクイン小説、ジュリア・クリステヴァ(Julia Kristeva)の「アブジェクシオン(おぞましきもの / abjection)」という概念、「ストーン・マウンテン(Stone Mountain)」の観光客向けの人種差別的な呼びもの、「ミンストレル・ショー」の慣習 – に目を向ける。