SPIRALLED by Seana Gavin [(RE)EDITION]
ロンドンを拠点に活動するアーティスト、シーナ・ギャビン(Seana Gavin)の作品集。2020年に初版が発売され、その後第3版まで刊行され続けた同作の再版本。より手に取りやすいコンパクトなサイズとなり、表紙には帯が巻かれ、中のページのレイアウトはより見やすく変更され、キャプションも追加された。
未成年だった作者がアンダーグラウンドのレイブシーンの信者だった1990年代へと時を戻し光を当てた一冊。1994年、イギリス政府は違法レイヴやその他の「反社会的」とされる行動を取り締まる「1994年刑事司法及び公共秩序法(Criminal Justice and Public Order Act 1994)」を導入した。テクノ・サウンドシステムの先駆者である「Spiral Tribe」らはイギリスを離れ、ヨーロッパへと飛び立ち、作者は彼らについていった。作者は旅を続け、日記を書き、写真を撮り、ほとんど二十年近い間、それらを隠し続けてきた。
本書は、ヨーロッパ中を行き来し、フリー・フェスティバルやレイヴ、大規模なピースフル・パーティーを広い野原や廃れた産業用建物で開催した「体制よ、くそったれ」のサウンド・システム運動のトラックやキャラバンにまつわる個人的で視覚的な歴史である。オルタナティブなライフスタイルについての本であり、野外風景の本であり、偉大でありながらもほとんど失われた自由を記録した写真集である。そうした自由が、2023年には、携帯電話やソーシャルメディア、"Zoom" 通話から逃れられる自由のように、そして活動の自由のように思える。旅、人々との出会い、ダンスを体験し、そこから学ぶために時間を拡張させた本なのだ。
「もう二度と体験することのなかった、純粋なる自由と共同体の真の意味を感じさせてくれたあの場の一部となれたことを幸運に思います。何にも縛られることはありませんでした。私たちは軽やかに旅をしました。境界線のあいだを放浪する自由がありました。持ち物を共有し、最低限の貯えで暮らしました。『Spiralled』は、そうしたものすべてを讃えると同時に、私の人生の中の十年間を通して、あなたをうねる旅路へと連れ出す記録なのです」ー シーナ・ギャビン