SIGMAR POLKE’S PHOTOGRAPHIC INFAMIES by Sigmar Polke
「
絵画は鍵ではない。化学は一つの鍵だが、化学である鍵はない。化学は毒であり、毒はリスクであり、リスクは毒であり、リスクは絵画である。絵画は何かを隠している。隠すことによって新たな色彩が立ち現われる。新しい色彩は新たな危険であり、危険とは欲望であり、欲望とは鍵である (...)」
― ハラルド・ゼーマン
ドイツ人画家のジグマー・ポルケ(Sigmar Polke)の作品集。パリの「LE BAL」で開催された同名の展覧会に伴い出版された。作者の息子、ゲオルグ・ポルケ(Georg Polke)が所有する未発表の写真作品を収録。オランダの出版社「ROMA PUBLICATIONS」のロジャー・ウィリアムズ(Roger Willems)がデザインを手がけた本書は、創造力のピーク(1970~1986年)を迎えた作者が写真というメディアとの間に育んでいた、歓喜に満ちた関係性を浮かび上がらせる。作者の作品では当たり前のことだが、ページをめくるたびに写真の様々なジャンルや実験が目に飛び込んでくる。ここには、家族アルバムのようでもあり、ロードムービーのようでもある世界観が形成されている。また本書は、制作において化学的 / 写真的な実験がいかに重要な位置を占めていたかをはっきりと示している。スイス人美術史家でありキュレーターのバイス・クリガー(Bice Curiger)による貴重なインタビュー(1985)に加え、美術史家のベルナール・マルカード(Bernard Marcadé)、美術史家でありキュレーター、出版者、評論家のバイス・クリガー(Bice Curiger)、モースブロイヒ美術館キュレーターのフリッツ・エムスランダー(Fritz Emslander)、キュレーター、アーティスト、美術史家のハラルド・ゼーマン(Harald Szeeman)によるテキストを収録。多数の希少なイメージを含む作者の写真作品をまとめた重要な一冊。